「楽にやれる仕事」なんてありえない。松重豊の言葉

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『孤独のグルメ』は深夜にひっそりスタートした作品なので、まさか海外の方も観てくださっているとはびっくりしました。役者は僕一人で、最初はスタッフも少なく、普通の連続ドラマに比べたらはるかに小規模なチームでした。たとえるなら小さな町工場。小規模でも職人たちが良い商品を作っていたら、少しずつ売れてお客さんが増えて、海外の大企業までもが買いつけに来てくれた、という感じでしょうか。

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苦しい時期の身の振り方、自分の追い込み方で、10年後、20年後が変わってくる。

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僕らの仕事に正解はない。はっきりわからないまま、修行のように、あるものを捨て、新しいものを取り入れて作り変えていかないと滅びる。

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その瞬間を真剣に取り組むしかない。

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不安はあったけど、そういう状況をひっくるめて楽しめないか、と引き受けることにしました。もちろん、やるからには絶対に面白いものにしますよ。

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たとえ同じ役を演じても少しでも変わっていかないと、やっていて面白くないと思っています。

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「経験があると安心する」という人もいるかもしれませんが、それでは引き出しの中から出すことしかできず、新しいものを生み出せません。

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仕事上で大切にしていることは経験に頼らずに忘れることです。演技の経験を引き出しにストックしておくのではなくて、引き出しをすべてその場で捨ててしまう。漫才師の方がお客さんに同じネタを見せたくないと思うように、役者もまったく同じ演技を見せてはつまらないという気持ちがあるんです。常に新鮮でありたいし、「この人のこんな演技は初めて観た」と思われたいのです。

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現在は特に大きな目標も、こうなりたいという自分像なんてものもありませんが、まだやっていない役はたくさんありますから、それをひとつひとつ、自分のキャリアの中に加えていきたいと思って仕事と向き合っています。自分を必要としてくれる場所があるなら、自分が役に立てる限り、ぜひやらせてほしいという気持ちでいます。

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退路を断てば「ここでやるしかない」と腹もくくれるし、若いうちに一度逃げておくのも悪くないのかもしれません。そうして初めて、自分の仕事が世間的に認められるかどうか、それでお金をもらっていいかどうか、戦略として考えていけるようになるんだと思います。

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人生に一回リセットボタンがあるとしたら、すでに1回使っていますから、2度目はもう使えません。もうこの世界でダメだとは言えないという覚悟はそのとき持つことができました。
ー俳優業を一度休業したことについて語った言葉

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僕自身は50代になってから、体力的な衰えも感じるようになり、若い頃と同じことはできないな、と感じています。しかしその分、まったく違ったこともできるようになってきた気がしています。ものの見方や考え方、演技の仕方にしても、意外性のあるやり方ができるようになると良いな、と。

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俳優を目指して、最初に入ったのが蜷川スタジオ。妥協をしないことで有名な蜷川幸雄さんですからね。いろいろ鍛えられて密度の濃い時間を過ごしました。

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役者の仕事はいつもそうですが、良い意味の緊張感を持続していないといけないと思っています。本作(孤独のグルメ)に関しても、食べるだけのドラマですが、事前に綿密に打ち合わせをしますし、本番ではチーム全員が「失敗しないぞ」という気概を持って真剣に臨んでいる。だから自分も絶対、NGなんて出せません。

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何年芸歴を積み重ねても、「楽にやれる仕事」なんてありえないと思っています。ビジネスマンの方々も、それは同じではないでしょうか。部下に対して何か指示するにも、緊張感を持っていないと説得力がないし、組織を束ねていくこともできないですよね。

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30代半ば、大河ドラマへの出演を皮切りにテレビの仕事も増えていきました。ただし、舞台と映像では勝手も違う。劇団と違い、誰も教えてくれない。必死で自分の演技をチェックして独学で研究しました。いまでも勉強の日々です。

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僕自身、40代の頃が一番苦しかったです。20代はがむしゃらに頑張るだけで、30代は食っていくために必死だった。40代になったらある程度キャリアを積んで認知されたものの、その一方で上を見ればすごい先輩方ばかりで、下の世代からもプレッシャーを感じて。プライベートでも仕事でも、責任が重くなって、今思えばもがき苦しんでいた時期でした。でも、そのつらい時期があったからこそ今があると、実感しています。

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蜷川(幸雄)さんの教えで痛感したのが、演劇は生ものだということ。公演に備え、稽古場に通って1か月くらいは稽古漬けの毎日。当然セリフの言い回しや、細かい動きまで厳しい指導を受けます。それをくり返すうちに、蜷川さんから演技にOKが出る。でも、安心できません。「これでいい」と合格点をもらった演技を翌日もそのままやると怒鳴られます。つまり、ラクしてはいけないんです。堕落しないために常に自分を疑って検証しろ、と叩き込まれました。

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