『夫の命を奪った女が憎い』そう悩む女性への回答に涙。政治学者 姜尚中の言葉

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50代女性です。

私の夫は昨年、無灯火の車にはねられ、

命を奪われました。

私の人生は灰色になりました。

あまりに苦しいので早く夫のそばに行きたいのですが、

夫の愛したワンニャンがいるので、

彼らをみとってからにするしかありません。

夫をはねた女は被害者を救護することなく、

警察に拘束されるまで車から一歩も外に出なかった

にもかかわらず、

刑事裁判では、仕事を辞めたことなどが情状酌量となり、

執行猶予がつきました。

人を殺しても裁判で反省していると言えば、

普通の生活が送れるのです。

私は人を心底、憎むことを覚えました。

自分で言うのもおこがましいですが、

私は思いやりのある性格です。

しかし、

周りに人がいないときには

「クソ女、死ね!」

と叫んだり、

あの女の配偶者が夫と同じ目にあえばいいのにと

願ったりします。

この私が、人の死を願うようになるなんて、

苦しくてなりません。

本や映画、音楽で一時的に心が

救われることもありますが、

またすぐに苦しくなります。

グリーフケアの会にも参加してみましたが、

それぞれの方の悲しさ、苦しさが

押し寄せてきて、かえって苦しくなります。

人を憎み続けるのは

多くのエネルギーが必要です。

私が楽になるためには、

やはり死ぬしかないのでしょうか。

この圧倒的な虚無感、孤独感から

逃れるすべはあるのでしょうか。

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■姜尚中氏の回答

今あなたはどこにいるのでしょうか。

この欄に相談を寄せられた以上、

誰かがきっと自分の悩みに答えてくれるはずだと、

藁をもすがる思いで投稿されたのでしょうか。

私の回答が、

あなたにもう一度生の舫(もや)いをつないでみようと

思い直すキッカケになるかどうか、

正直私には自信がありません。

それでも私はいくつか寄せられた相談の中で

あえてあなたを選びました。

あなたの悩みは深刻で、

人間の根本にかかわる問いを含んでいると思ったからです。

今のあなたは、どんな気晴らしをしても、

同じような苦しみを抱えた人たちと一緒にいても、

絶望と孤独感、憎悪と虚無の無明の世界から

抜け出せないでいます。

ではどうしたらいいのか。

「死ぬのはおやめなさい」。

これが私のあなたへのアドバイスです。

最愛の伴侶を奪った人間を憎み続ける。

憎んで憎んで憎み続ける。

でも、憎しみには

エネルギーが必要ですし、

あなたは憎しみを糧に復讐を願うことだけを

生きがいにするには、

あまりにも優しい心の持ち主のようです。

他人によってではなく、

自ら死を選んだ我が子を失った時、

私もあなたと同じように

悲しみと絶望に追いやられ、

「なぜ、わたしは母の胎にいるうちに死んでしまわなかったのか」

(「ヨブ記」3-11)と、我が身を恨めしく思ったものです。

でも、息子は

「みんな末永く元気で」

という言葉を残してくれました。

自分は逝くにしても、

みんなはいつまでも元気でいて欲しい。

そう願っていたのです。

わたしはその言葉に励まされ、

生き続けよう、

生きて生きて生き続ければ、

きっと息子に再会できる。

そう思うようにしたのです。

死後の世界は誰にもわかりません。

わたしが勝手にそう思っても、

誰にも迷惑をかけることはないはずです。

あなたの大切な伴侶は、

あなたに残す言葉もなく、突然、

この世を去りました。

でも、きっと最愛の人は、

あなたに

「末永く元気で」

いて欲しいと願っているはずです。

あなたもどこかでそう感じているからこそ、

故人が愛した「ワンニャン」たちの

面倒を見ようと思われたのではないですか。

孤独も、絶望も、憎しみも、

あなたの中から消えてなくなることはないはずです。

それでも、

「末永く元気で」生きてみましょう。

そうすれば、

あなたは最愛の人に出会えるのです。

過去に向かって前進するように

「末永く元気で」生きてください。

わたしもそうしますから。

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