『念ずれば花ひらく』詩人 坂村真民の言葉

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(1)

大切なのは、

かつてでもなく、

これからでもない。

ひと呼吸ひと呼吸の今である。

(2)

長く生きていることは無駄ではなかったと

しみじみ思う年になった

見えなかったものや聞こえなかったものが

見えだし聞こえだしたのもありがたい喜びの一つだが

一番大きな喜びは

色々の悲しみを知ったことだった

(3)

いのちいっぱい生きるのだ

念じ念じて生きるのだ

一度しかない人生を

何か世のため人のため

自分にできることをして

この身を捧げ生きるのだ

(4)

決して妥協するな

妥協したらもうおしまい

一番恐ろしいのは

自己との妥協だ

つねに鞭うち

つねに叱し

つねに前進せよ

(5)

あとから来る者のために

田畑を耕し 種を用意しておくのだ

山を 川を 海を きれいにしておくのだ

ああ あとから来る者のために苦労をし我慢をし

みなそれぞれの力を傾けるのだ

あとからあとから続いてくるあの可愛い者たちのために

みなそれぞれ自分にできるなにかをしてゆくのだ

(6)

美しい花より

よい香りを持つ花がいい

美しい人より

よい性質の人がいい

(7)

よい本を読め

よい本によって己れを作れ

心に美しい火を燃やし

人生は尊かったと叫ばしめよ

(8)

順調に行く者が必ずしも幸せではないのだ

悲しむな

タンポポを見よ

踏まれても平気で花を咲かせているではないか

(9)

元気のいい時にできるだけ多く言葉をかけておこう

石たちに 草木たちに 鳥たちに 愛する人たちに

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(10)

念ずれば花ひらく

苦しいとき母がいつも口にしていたこの言葉を

わたしもいつのころからかとなえるようになった

そうしてそのたびわたしの花が

ふしぎとひとつひとつひらいていった

(11)

花には散ったあとの悲しみはない

ただ一途に咲いた悦びだけが残るのだ

(12)

あせるな いそぐな ぐらぐらするな

馬鹿にされようと 笑われようと

じぶんの道を まっすぐゆこう

時間をかけて みがいてゆこう

(13)

死のうと思う日はないが、

生きてゆく力がなくなることがある。

そんな時お寺を訪ね、私ひとり、仏陀の前に座ってくる。

力わき明日を思う心が出てくるまで座ってくる。

(14)

幸せは、

時には不幸という帽子をかぶってやってくる

(15)

美しいものは美しい心でながめ、

優しいものは優しい心で接し、

その日その日を送っていこう。

過ぎてゆく月日を宝のように大事にして、

一度きりの人生を全うしよう。


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