生命は

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生命は

 

自分自身だけでは完結できないように

 

つくられているらしい

 

花も

 

めしべとおしべが揃っているだけでは

 

不充分で

 

虫や風が訪れて

 

めしべとおしべを仲立ちする

 

生命はすべて

 

その中に欠如を抱き

 

それを他者から満たしてもらうのだ

 

私は今日、

 

どこかの花のための

 

虻だったかもしれない

 

そして明日は

 

誰かが

 

私という花のための

 

虻であるかもしれない

 

― 詩集『風が吹くと』より

 

 



 

著:吉野 弘, 著:吉野 喜美子, 著:吉野 奈々子, 著:吉野 万奈
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