生命は
自分自身だけでは完結できないように
つくられているらしい
花も
めしべとおしべが揃っているだけでは
不充分で
虫や風が訪れて
めしべとおしべを仲立ちする
生命はすべて
その中に欠如を抱き
それを他者から満たしてもらうのだ
私は今日、
どこかの花のための
虻だったかもしれない
そして明日は
誰かが
私という花のための
虻であるかもしれない
― 詩集『風が吹くと』より
ポチップ