『丁度よい』良寛

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お前はお前で丁度よい

顔も体も名前も姓も

お前にそれは丁度よい

貧も富も親も子も

息子の嫁もその孫も

それはお前に丁度よい

幸も不幸も喜びも

悲しみさえも丁度よい

歩いたお前の人生は

悪くもなければ良くもない

お前にとって丁度よい

地獄へいこうと極楽へ行こうと

いったところが丁度よい

うぬぼれる要もなく

卑下する要もなく

上もなければ下もなく

死ぬ月日さえも丁度よい

仏様と二人連れの人生

丁度よくないはずがない

丁度よいのだと聞こえた時

憶念の信が生まれます

南無阿弥陀仏

【憶念の信】… 「阿弥陀仏の本願を信ずること」、すなわち「阿弥陀仏にお任せする」ということだそうです。 この詩は、むかし、現状をうけいれることができす悩んでいた作者の心にふと聴こえた仏様の言葉だとのこと。

良寛(りょうかん、宝暦8年10月2日(1758年11月2日) – 天保2年1月6日(1831年2月18日))、江戸時代後期の曹洞宗の僧侶、歌人、漢詩人、書家。号は大愚。名は栄蔵。



著:良寛, 翻訳:入矢 義高
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