人生のどんな隅にも、やっぱり望みはあるのだ。小説家 菊池寛の言葉

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(1)

人生は

一局の将棋なり、

指し直す能わず。

(2)

人間は生きている間に、

充分仕事もし、

充分生活もたのしんで置けば、

安心して死なれるのではないかと思う。

(3)

約束は必ず守りたい。

人間が約束を守らなくなると

社会生活はできなくなるからだ。

(4)

来世に希望をつなぐ信仰などよりも、

現世をよく生きたということが、

安心の種になるのではないかと思う。

(5)

人生のどんな隅にも、

どんなつまらなそうな境遇にも、

やっぱり望みはあるのだ。

(6)

人への世話は、

慰みとしてしたい。

義務としては、したくない。

(7)

罠をかける者も卑しい。

が、それにかかる者も

やっぱり卑しかったのだ。

(8)

とにかく勝つ人は強い人である、

多く勝つ人は結局上手な人、

強い人といわなければならないだろう。

(9)

一局一局の勝負となると、

強い人必ず勝つとはいえない。

定牌を覚えたばかりの素人に

負けるかも知れない。

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(10)

最善の技術には、

努力次第で誰でも達し得る。

それ以上の勝敗は、

その人の性格、心術、覚悟、

度胸に依ることが多いだらう。

(11)

悪妻は

百年の不作であるという。

しかし、

女性にとって、

悪夫は百年の飢饉である。

(12)

人といっしょに物を食ったとき、

相手が自分より

よっぽど収入の少ない人であるときは、

少し頑張ってもこちらが払う。

(13)

人生に於て何が一番

必要であるかと云うことが

今更ながら分かった。

生死の境に於ては、

ただ寝食の外必要なものはない。

(14)

私は、

させる才分なくして、

文名を成し、

一生を大過なく暮しました。

多幸だつたと思ひます。

死去に際し、

知友及び多年の読者各位に

あつくお礼を申します。

ただ国家の隆昌を祈るのみ。

(15)

左傾にしろ、右傾にしろ、

独裁主義の国家は、

我々人類のために、

決して住みよい国ではない。

菊池寛(きくち かん、1888年(明治21年)12月26日 – 1948年(昭和23年)3月6日)、小説家、劇作家、ジャーナリスト。本名は菊池寛(きくち ひろし)。実業家としても文藝春秋社を興し、芥川賞、直木賞、菊池寛賞の創設に携わった。


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