名づけられた葉

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ポプラの木には ポプラの葉

何千何万芽をふいて

緑の小さな手をひろげ

いっしんにひらひらさせても

ひとつひとつのてのひらに

載せられる名はみな同じ〈ポプラの葉〉

わたしも

いちまいの葉にすぎないけれど

あつい血の樹液をもつ

にんげんの歴史の幹から分かれた小枝に

不安げにしがみついた

おさない葉っぱにすぎないけれど

わたしは呼ばれる

わたしだけの名で 朝に夕に

だからわたし 考えなければならない

誰のまねでもない

葉脈の走らせ方を 刻みのいれ方を

せいいっぱい緑をかがやかせて

うつくしく散る法を

名づけられた葉なのだから 考えなければならない

どんなに風がつよくとも

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著:中野孝次
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