ひとは皆、
他とは違った生き方を好む。
雪が六角形の枠のなかでさえ
模様の、多少の変化をきそうように。
ひとは皆、
同じ生き方をしている。
雪が自分以外の色に超然としているようで
実は、他の意見にやすやすと染まるように。
ひとは皆、
同じ生き方をしている。
雪のように
自分に暖かくすることができなくて
自分に冷たく当たる以外、凝縮できなくて。
ひとは皆、同じ生き方をしている。
ただよう雪のように
落下しているのに飛翔していると信じて。
― 詩人 吉野弘(1926 – 2014)