誰も彼もが自分を遠ざける。
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誰も自分に親しくしてくれない。
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まるで、
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見たくないものを見てしまったかのように･･････。
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やるせなくて、心がしおれてしまいますね。
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ただあなたは
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食事やカラオケ、遊園地やコンパ、初詣と、
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人びとが連れ立って出かけるところでばかり、
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自分をひとりぼっちだと悲観しています。
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が、図書館はどうですか？
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美術館はどうですか？
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どちらも仲間とわいわい騒いで
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訪れるところではありません。
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そう、ひとりぼっちと孤独は
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同じではないのです。
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誰にも相手にされない自分が
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見捨てられていると感じていても、
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ひっそりと独りの時間を
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過ごすことはできるのです。
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フランスに、
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「選んだ孤独はよい孤独」という
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ことわざがあります。
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ひとりぼっちに傷つきながらも
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孤独を味わい尽くし、
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その孤独を人びとを深く慰める表現にまで
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持っていった人たちがいるのです。
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すぐに温かい家庭や職場を求めずに、
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一度、そういった人たちと
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図書館や美術館で出会い、
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語らうことから始めたらどうですか。
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孤独な魂の間でこそ、
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心の深い通い合いは生まれる。
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まわりの人たちとの交際は、
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それからでも遅くありません。
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－ 鷲田清一（哲学者）
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