あるところに、
一羽のガチョウを飼っている貧しい男がいました。
ある日の事、
このガチョウが金のタマゴを一つ産みました。
男はビックリして、叫びました。
「これはすごい! 高く売れるぞ!」
ガチョウは次の日も、金のタマゴを産みました。
また次の日も、また次の日も、
毎日一つずつの金のタマゴを産みました。
おかげで貧しかった男は新しい家に住み、
おいしい物を食べ、きれいな服を着る事が出来ました。
「おれもずいぶんお金持ちになった。
でも、おれよりも大きい家に住み、
おれよりも高い服を着ている奴は大勢いる。
ガチョウがもっとたくさんの
タマゴを産んでくれればいいのだが。
…まてよ。
あのガチョウの腹の中には、
金の固まりがあるに違いない。
そうだ、それを取り出せば、
おれはもっと金持ちになれるぞ」
男はそう思って、
すぐにガチョウのお腹を切り開きました。
でも、金の固まりなど出てきません。
ガチョウは死んでしまい、男はすぐにお金がなくなって、
また貧乏になってしまいました。
「足るを知る者は富む」といいます。
今あるもの、
今いる人を大切にする。
金のタマゴは…そう、
目の前の人を喜ばせる連続の先に、
あるんですよね。
金のタマゴは獲るものではない。
じっくり育てて、
はじめて産まれるものなんですね。