現世は夢、夜の夢こそまこと。小説家 江戸川乱歩の言葉

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(1)

 

昼は夢 夜ぞうつつ

 

 

(2)

 

孤独に徹する勇気もなく、

犯罪者にもなれず、

自殺するほどの強い情熱もなく、

結局偽善的に世間と

交わって行くほかはなかった。

 

 

(3)

 

男というものは、

少々陰険に見えても、

根性はあくまでも

お人よしにできているものだ。

そして、

女というものは、

表面何も知らないねんねえのようであっても、

心の底には生まれつきの陰険が

巣くっているものだ。

 

 

(4)

 

二、三歳のころは、

ひどくおしゃべりで、

物真似などが上手だったそうだが、

物心つくにしたがって、

あまりしゃべらなくなり、

独りで何か空想して、

夕方など町を歩きながら、

声に出してその空想を

独白するくせがあった。

 

 

(5)

 

学校は地獄であった。

そのために、

私は社会生活を嫌悪し、

独りぼっちで物を考える癖が、

ますます嵩じて行った。

 

 

(6)

 

戦前の人嫌いが、

戦後人好きになり、

いろいろな会合に

進んで出るようになったのは、

一つは隣組や町会で人に慣れたのと、

もう一つは戦争中

多少酒が飲めるようになったせいである。

 

 

(7)

 

たとえ、

どんなすばらしいものにでも

二度と

この世に生れ替って来るのはごめんです。

 

 

(8)

 

結局、

妥協したのである。

もともと生きるとは

妥協することである。

 

 

(9)

 

恋愛ばかりでなく、

すべての物の考え方が

誰とも一致しなかった。

 

 

(10)

 

現世(うつしよ)は夢 夜の夢こそまこと

 

江戸川乱歩(えどがわ らんぽ、旧字体:江戶川 亂步、1894年〈明治27年〉10月21日 – 1965年〈昭和40年〉7月28日)、日本の推理小説家、怪奇・恐怖小説家、アンソロジスト。日本推理作家協会初代理事長。位階は正五位。勲等は勲三等。ペンネームは小説家のエドガー・アラン・ポーのもじり。大正から昭和期にかけて活躍し、主に推理小説を得意とした。また、第二次世界大戦後は推理小説分野を中心に評論家や研究家、編集者としても活躍した。乱歩の寄付で創設された江戸川乱歩賞が推理作家の登竜門となるなど、後世にも大きな影響を与えた。自らも実際に探偵として、岩井三郎探偵事務所(ミリオン資料サービス)に勤務していた経歴を持つ。

 


 

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