健康は大事だね、本当に。身体壊しちゃ何もならないよ。小説家 恩田陸の言葉

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(1)

なんでもない瞬間が、

これまでの人生と

これからの人生を分ける。

― 『きのうの世界』

(2)

自分が支えていると

思っているものに

所詮は支えられている。

ー 『隅の風景』

(3)

当たり前のことだけど、

健康は大事だね、本当に。

身体壊しちゃ何もならないよ。

でも、実際のところ、

口では言ってるけど、

みんなあまりそのこと実感してないんだよね。

(4)

平凡な人間にとって、

自由は結構つらい。

― 『まひるの月をおいかけて』

(5)

異性の好みってそうは変わらないでしょ。

本人は懲りたと思ってても、

次も大体似たようなタイプに

引っ掛かるじゃないですか。

(6)

好きになるのに理由はいらないけど、

別れるためには理由が必要でしょ。

でないと、終わらせられないじゃない。

(7)

人はつきあい始めた頃は

似ているところばかりを見つけて数え上げるが、

別れの気配を感じると、

相手と自分の違うところを探し始めるのだ。

(8)

なんにでも使えるはずなのに、

いつもなんにも使うことができない日曜日。

その日が来るのを楽しみにしているのに、

来るとすぐに終わるときのことを考えてしまう。

― 『黒と茶の幻想』

(9)

男と女って別の生き物じゃない?

だからそろそろ男と同じ仕事ができれば

平等だっていう考え方は

やめた方がいいんじゃないかと思うのよね。

精神的にも、能力的にも、

向いてるベクトルの方向が

異なるんだから、ナンセンス。

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(10)

子供の頃から友達が男の子ばかり

という活発な女の子。

そういう子は、

女の子はつまらないしうじうじしている、

男のほうがさっぱりしていてつきあいやすい、

というようなことを言うんですよね。

でも、実際はそういう女の子のほうが、

心根ではずっと

他の子よりも女の子っぽかったりする。

(11)

不思議なもんでさ、

人間、自分は親に嫌なところばっかり

似たって思うんだよね。

親から貰ったいいものは勘定に入れてない。

いいものは持ってて当たり前だって思ってるし、

自分が元から持ってるものだって思ってる。

(12)

近くにいなければ、忘れられる。

忘れられれば、存在しないのと同じだ。

(13)

たくさんの人間が噂をすればさ、

それは大勢で

繰り返し呪文を唱えるようなものだろ?

それはだんだん「真実」に、

「本当」になっていくのさ。

それって凄く怖いことだよね。

ー 『球形の季節』

(14)

簡単なことを

難しく言う奴は幾らでもいるけど、

難しいことを分かりやすく

説明できる人って少ないもんだよ。

(15)

今自分たちが直面している世界が

夢のような気がするのだ。

まさか自分が

こんな目に遭うはずがないと思っている。

自分だけは死ぬはずがないと。

恩田陸(おんだ りく、1964年10月25日 -)、日本の小説家。『六番目の小夜子』(1992年)でデビュー。ホラー、SFなど枠にとらわれず、郷愁を誘う情景描写に定評がある。『夜のピクニック』(2004年)で本屋大賞、『蜜蜂と遠雷』(2016年)で直木賞・本屋大賞を受賞。



著:恩田陸
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