国家を脅かす敵として、天災ほど恐ろしい敵は ないはずである。物理学者 寺田寅彦の言葉

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(1)

心の窓はいつでも

できるだけ数をたくさんに、

そうしてできるだけ広く

開けておきたいものだ。

(2)

興味があるから

やるというよりは、

やるから興味ができる場合が

どうも多いようである。

(3)

いわゆる頭のいい人は、

言わば足の早い旅人のようなものである。

人より先に人のまだ行かない所へ

行き着くこともできる代わりに、

途中の道ばたあるいは

ちょっとしたわき道にある

肝心なものを見落とす恐れがある。

(4)

「知らない」と

「忘れた」とは

根本的に違う。

(5)

ケガを怖れる人は大工にはなれない。

失敗を怖がる人は科学者にはなれない。

科学もやはり

頭の悪い命知らずの死骸の山の上に

築かれた殿堂であり、

血の川のほとりに咲いた花園である。

(6)

人から笑われ、

狂人扱いにされることを

覚悟するだけの

勇気が入り用である。

(7)

子どもを教育する

ばかりが親の義務でなくて、

子どもに教育されることもまた

親の義務かもしれないのである。

(8)

健康な人には

病気になる心配があるが、

病人には

回復するという楽しみがある。

(9)

疑うがゆえに知り、

知るがゆえに疑う。

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(10)

科学は

不思議を殺すものではなく、

不思議を生み出すものである。

(11)

ある問題に対して

「ドーデモイイ」

という解決法のある事に

気の付かぬ人がある。

何事でもただ一つしか

正しい道がないと

思っているからである。

(12)

地震の研究に関係している

人間の目から見ると、

日本の国土全体が

一つのつり橋の上に

かかっているようなもので、

しかも、

そのつり橋の鋼索が

あすにも断たれるかもしれない

というかなりな可能性を

前に控えている。

(13)

モノを怖がらなさ過ぎたり、

怖がり過ぎたりするのは優しいが、

正当に怖がることはなかなか難しい。

(14)

戦争は

したくなければ

しなくても済むかもしれないが、

地震は

よしてくれと言っても

待ってはくれない。

(15)

国家を脅かす敵として

天災ほど恐ろしい敵は

ないはずである。

寺田寅彦(てらだ とらひこ、1878年(明治11年)11月28日 – 1935年(昭和10年)12月31日)、日本の物理学者、随筆家、俳人。吉村 冬彦(1922年から使用)、寅日子、牛頓(ニュートン)、藪柑子(やぶこうじ)の筆名でも知られる。


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