一人でできなくなったら、そうだね、最後のセリフは「はい、みなさん、今世はこれにてご無礼いたします」。いいセリフだよね。

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(1)

みんなね離婚してね、

次にいい人と出会ってるつもりでいるけど、

似たようなもんなのね。

ただ辛抱が効くようになっただけで。

(2)

どれだけ人間が生まれて、合わない環境であっても、

そこで出会うものがすべて必然なんだと思って、

受け取り方を変えていく。

そうすると成熟していくような気がするのよね。

(3)

靴下でもシャツでも最後は

掃除道具として、最後まで使い切る。

人間も、

十分生きて自分を使い切ったと思えることが、

人間冥利に尽きるということだと思う。

自分の最後だけは、

きちんとシンプルに始末することが最終目標。

(4)

「自分がいつまでも」

っていうことが美しいと思っているなら、

この世の中に排除されたらつらいでしょうけど。

それが普通だと思っていたら、

排除されるっていうことは

ひとつもいやじゃないわよ。

(5)

飽きたでしょ、おなかすいたでしょ、

って思っちゃう。

私がくたびれちゃうのね。

だから一人でやろうと思うの。

それで、一人でできなくなったら、

「これにてご無礼いたします」。

そうだね、最後のセリフは

「はい、みなさん、今世はこれにてご無礼いたします」。

いいセリフだよね。

(6)

私、とにかく今、

一人でやっているでしょ。

ここに来るのも一人、何をするのも一人。

誰かに頼むとその人の人生に責任を持てないから。

(7)

あのね、

年をとるっていうのは本当におもしろいもの。

年をとるっていうのは

絶対におもしろい現象がいっぱいあるのよ。

だから、

若い時には当たり前にできていたものが、

できなくなること、

ひとつずつをおもしろがってほしいのよ。

(8)

やったことがほんのわずかだもの。

やり残したことばっかりでしょう、きっと。

一人の人間が生まれてから死ぬまでの間、

本当にたわいもない人生だから、大仰には考えない。

(9)

成年の失敗よりも

老人の跋扈(ばっこ)が一番世の中を悪くすると思う。

私がある80のおばあさんにいったら

「ばっこってなーに?」「のさばること!」

あーらー。

(10)

(美しさ、醜さについて)

それはその人から見て、

美しければ美しく、醜ければ醜いし。

だってあんなに顔を引っ張ってしわを伸ばしたって、

その人は「美しい」と思ってやっているけど、

「変なの」って思う人もいるし。

すべてそうじゃないですか。

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(11)

人がうれしかったりした時に、

泣くことが多いわね。

悔しい、悲しい、で泣いたことはないわね。

「なんてすてきなことを言うんだ」

っていう時に泣けてくるね。

(12)

お金ってもう使わないから。

使う必要がなくなっちゃったから。

自由になるくらいの生活できますけど、

何にもしたいものないですね。

(13)

人間は自分の不自由さに仕えて成熟していくんです。

若くても不自由なことはたくさんあると思います。

それは自分のことだけではなく、他人だったり、

ときにはわが子だったりもします。

でも、

その不自由さを何とかしようとするんじゃなくて、

不自由なまま、おもしろがっていく。

それが大事なんじゃないかと思うんです。

(14)

本当は本来、

女のもっているタチ(性質)、

男がもっているタチがあると思うのね。

女が美しくなる適性、

男が見事になる適性ってあると思うの。

そこをとっぱらっちゃって、

どうでも生きられる時代なのかな。

(15)

「あの結婚はすぐにだめになる」って言われていて。

そうすると私はあまのじゃくだから、

「そうですかね」と。

今となると、内田さんの方が気の毒だと思う。

変なのにひっかかっちゃったな、って。

私が親だったらそう思う。

(16)

今の時代は型がなくても生きていける状態になった。

でも死ぬ時に気づいて振り返ったときに、

「あらーっ」て思うんじゃないかな、とも思うの。

でも私はそういうふうにしては死ねないな、というのがある。

(17)

がんはありがたい病気。

周囲の相手が自分と真剣に向き合ってくれますから。

ひょっとしたら、

この人は来年はいないかもしれないと思ったら、

その人との時間は大事でしょう?

そういう意味で、がんは面白いのよ。

(18)

今日、用事があることを

『今日用(きょうよう)』と言っているんだけど、

神さまがお与えくださった『今日用』に

向き合うことが毎日の幸せなのよね。

『今日用』をこなす事が、

人生を使い切ったという安堵につながるんじゃない。

(4)

自分が生きてきたことが、

人様のご迷惑にならないようにと思ってるの。

生きていることによって、

出すゴミがないようにね(笑)

『役目を存分に果たした』と思えるように、

「人生を始末」する気持ちで毎日を過ごしてるのよ。

(20)

病を悪、

健康を善とするだけなら、

こんなつまらない人生はないわよ。

― 樹木希林(女優, 1943 – 2018)

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