日本人が100年以上かけて構築してきた生活、文化が今、知らず知らずのうちに崩壊してきている。『男はつらいよ』山田洋次監督の言葉

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(1)

常に新しい物を欲しがる。

おいしい物ばかりに目移りする。

身の丈以上の生活を求め続けている。

そして子供には過度の期待をかけ、

能力以上の成果を望む。

果たして、

そこに本当の幸福があるのでしょうか。

(2)

かつてのような

貧しい暮らしが良いというのではありません。

ただ、身の丈に合わない生活には、

きっと大きな落とし穴がある。

そんな気がするのです。

(3)

僕はよく散歩をするけれど、

ゆっくり歩いていると、

道に生えている草花の美しさや

生命力を感じることができます。

スタスタ歩く人には見えない。

(4)

日本国憲法が施行されたのは戦後、

僕が16歳になった1947年です。

あの頃の日本人は住むところもなく、

お腹は空いていて、

ほぼ飢餓状態。

でも、希望だけはあった。

それは、この国が軍隊を持たない国になる、

すごい変わり方をするんだという

驚きの思いと共にあったんです。

(5)

70年たって、

世界にまだまだ平和は訪れていない。

人間はなぜ賢くなれないのか…と思います。

(6)

日本人が100年以上かけて

構築してきた生活、文化が今、

知らず知らずのうちに崩壊してきている。

今の家庭生活において、

何を否定し、何を守らなければならないのか、

日本人は真剣に考えなければならない。

(7)

(東京)オリンピックが終わった後が

どんなに悲惨かというのは、

ロンドンであり北京であり

見えているんじゃないかな。

施設のあとが荒涼としてしまう。

東京もああなるかと思うとぞっとする。

(8)

日本の主婦の立場について、

この国に男女差別が

本当に無くなっているのだろうか?

実はかなり

根深く残っているんじゃないだろうか?

そういう問題について

考えて下さればいいなと思っています。

(9)

昭和といったって、3種類ある。

まず戦前。戦中はない。

これは消えてしまいたい時代。

全く最低な時代。

戦中は昭和に入らない。

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(10)

今、寅さんに会えたなら

寅さんは僕たちに

「いま、幸せかい?」と

問いかけるに違いない。

(11)

今、僕たちは欲望を抱くことが

つまり正しいという風に、

いつの間にか

この国はなってしまっているからね。

そのことの間違いに気が付いてみると、

何とかやっていけるんじゃないかな。

(12)

貧しいということは、

自分が貧しいと

思っているから貧しいんで、

貧しくないと思ったら

貧しくないんですよね。

(13)

今、日本人は誰もが

老人問題を抱えているはずです。

自分でなくとも、

親や祖父母たちが抱えた問題であり、

誰もがいつかは行く道、パンドラの箱なんです。

一部の人たちではなく、

国会で議論されるべきオリンピックなどより

はるかに重大な課題です。

(14)

大笑いして、

さあ明日から元気になって

生きていこうと思いたいわけじゃない?

だったらその役割を持った映画が

たくさんあっていいはずなんだけども、

意外にないよね。

(15)

あの時代(昭和20~30年代)は

日本人は元気だったんじゃないかな。

労働組合も元気だったし、

学生運動も盛んだったし。

そういう活気にあふれていた。

山田洋次(やまだ ようじ、1931年〈昭和6年〉9月13日 – )、日本の映画監督、脚本家、演出家。東京大学法学部卒業。川島雄三、野村芳太郎の助監督を経て1961年に『二階の他人』でデビュー。『男はつらいよ』シリーズなど人情劇を発表し、現役でキネマ旬報ベストテンに最多入賞した監督。紫綬褒章(1996年)、文化功労者(2004年)、文化勲章(2012年)受章。日本芸術院会員。財団法人いわさきちひろ記念事業団理事長。関西大学大学院文学研究科および立命館大学映像学部の客員教授、文化学院の特別講師。日本映画監督協会会員。



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コメント

  1. 明日のジョーデュマ―ㇲ より:

    今日帰り道で思ったんです
    若者に活気がない?
    老人はそろそろくちをださないほうがいいんじゃない?
    自分だけは老人じゃないとおもってる?
    もう若者を応援する側にまわりなよ