大事を成さんと欲する者は、まず小事を務むべし。二宮尊徳(二宮金治郎)の言葉

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(1)

積小為大。

大事を成さんと欲する者は、

まず小事を務むべし。

大事を成さんと

欲して小事を怠り、

その成り難きを憂いて、

成り易きを務めざる者は、

小人の常なり。

それ小を積めば大となる。

(2)

貧となり富となる。

偶然にあらず、

富も因て来る処あり、

貧も因て来る処あり。

人皆

貨財は富者の処に

集まると思へども然らず。

節約なる処と勉強する所に集まるなり。

(3)

万町の田を耕すも

その技は一鋤ずつの功による。

(4)

道徳を忘れた経済は、罪悪である。

経済を忘れた道徳は、寝言である。

(5)

人道は一日怠れば、

たちまちすたれる。

(6)

心の

田畑さえ開墾ができれば、

世間の荒地を開くこと難しからず。

(7)

善悪と言っても、

天が決めたものではなく

結局、人間にとって

便利かどうかだけの話である。

(8)

すべての商売は、

売りて喜び、

買いて喜ぶようにすべし。

売りて喜び

買いて喜ばざるは道にあらず。

貸借の道も、

また貸して喜び、

借りて喜ばざるは道にあらず。

(9)

人道は勤めるのを尊しとし

自然に任せるのを尊ばない。

勤めるということは

私欲に克つということである。

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(10)

誠実にして、

はじめて禍(わざわい)を

福に変えることができる。

術策は役に立たない。

(11)

人々にはそれぞれ

長所もあり、

短所があるのは仕方がない。

相手の長じているところを友として

劣っているところは友としてはいけない。

人の短所を捨て、長所を友とするのだ。

(12)

いかに善を思っても、

行いによって善を表さなければ、

善人とは言えない。

それは、

悪い事を考えていると言っても、

実際に悪事をしなければ

悪人といえないのと同じである。

従って私はどんな小さなことでも、

実際に善を行う事を尊ぶ。

善心が起きたら、

すぐに実行するのが良い。

(13)

キュウリを植えれば

キュウリと別のものが収穫できると思うな。

人は自分の植えたものを収穫するのである。

(14)

政事は

豆腐の箱の如しである、

箱が歪めば豆腐も歪む。

(15)

凡人は小欲なり。聖人は大欲なり。

【小欲と大欲】

小欲は安心、安全、金銭、異性、

名誉、名声、地位、権力への欲求。

大欲は使命、天命などと呼ばれる、

人生の目的に生きたいという高次の欲求。

二宮尊徳(にのみや そんとく)、江戸時代後期の経世家、農政家、思想家である。自筆文書では金治郎(きんじろう)と署名している例が多いが、一般には「金次郎」と表記されることが多い。また、諱の「尊徳」は正確には「たかのり」と読むが、「そんとく」という読みで定着している。経世済民を目指して報徳思想を唱え、報徳仕法と呼ばれる農村復興政策を指導した。


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