物言へば唇寒し 秋の風 松尾芭蕉の言葉

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(1)

不易流行

― いつまでも変化しない本質的なものを忘れない中にも、新しく変化を重ねているものをも取り入れていくこと。

(2)

古人の跡を求めず、

古人の求めたる所を求むべし

(3)

松のことは松に習え、

竹のことは竹に習え

(4)

山は静かにして

性をうあしなひ、

水はうごいて性を癒す

―「性」は人の心の本体、「情」は人の心の作用を意味する。静の山に向かえば心そのものがゆったりとやしなわれ、動の水を眺めれば心の憂いがいやされる。

(5)

物言へば唇寒し

秋の風

― 人の短所を言ったあとは、後味が悪く、寂しい気持ちがする。

(6)

月日は百代の過客にして

行きかう年もまた旅人なり

― 月日というのは、永遠に旅を続ける旅人のようなものであり、来ては去り、去っては来る年もまた同じように旅人である。

(7)

おろかなる者は

思ふ事おほし

― 愚かな人間ほど、心配したり思い悩むことが多いものである。

(8)

古池や

蛙飛び込む

水の音

― 春の静けさの中、ときおり古池に蛙が飛び込む音が聞こえる。その音がいっときの余韻を残し、再びもとの静寂さを取り戻す。

(9)

夕を思い

旦を思うべし

― 理由もなく同じところに、安易に連泊してはいけない。 森や路傍など、たとえどんなところで夜を明かしても、暖かな莚に寝ていると思いなさい。

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(10)

憂き我を

淋しがらせよ

閑古鳥

― 閑古鳥よ。いつも何となく物憂い思いでいる私を、お前のその寂しい鳴き声で、もっと実体のある明確な閑寂境の中に誘いこんでほしい。

(11)

名月や

池をめぐりて

夜もすがら

― 仲秋の名月を眺めながら池の周りを歩いていたらいつの間にか夜が明けてしまったのである。

(12)

耳をもて俳諧を聞くべからず、

目をもて俳諧を見るべし

― 俳句の題材とする対象を目で見て、正確に把握することが大事である。

(13)

他の短を挙げて、

己が長を

顕(あらわ)すことなかれ

(14)

好みて酒を飲むべからず、

饗応(きょうおう)により固辞しがたくとも

微醺(びくん)にして止(や)むべし、

乱に及ばずの禁あり

― 込んで酒を飲んではいけない。もてなしで断れない場合であっても、ほろ酔い程度でやめること。そうすれば、争いやもめ事に至ることもなくなる。

(15)

旅に病んで

夢は枯野をかけめぐる

― 旅の途中で病気になり倒れてしまったけれども、夢はどこかの枯野を、まだかけ廻っている。

松尾芭蕉(まつお ばしょう、寛永21年(正保元年)(1644年) – 元禄7年10月12日(1694年11月28日))、江戸時代前期の俳諧師。北村季吟門下。芭蕉は、和歌の余興の言捨ての滑稽から始まり、滑稽や諧謔を主としていた俳諧を、蕉風と呼ばれる芸術性の極めて高い句風として確立し、後世では俳聖として世界的にも知られる、日本史上最高の俳諧師の一人である。但し芭蕉自身は発句(俳句)より俳諧(連句)を好んだ。元禄2年3月27日(1689年5月16日)に弟子の河合曾良を伴い江戸を発ち、東北から北陸を経て美濃国の大垣までを巡った旅を記した紀行文『おくのほそ道』が特に有名である。


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