今春、
女子大の薬学部に進学した娘の入学式に出席した。
駅から大学までの歩道に、
学生が花道を作り、サークル勧誘のビラを配っていた。
多くは近くの国立大の男子だった。
「誰もくれなかった。
(可愛い子だけ)見極めているからと
男の子たちが言っていた」
と娘が言った。
よく観察すると、
帰りは反対側の道を通ったのに、
娘の頭越しに、後ろの子に渡していた。
娘は最初は怒っていたが、
帰りの電車の中では、涙を流していた。
娘は地味な子だ。
中2の時に、男子にからかわれ、
容姿に自信をなくした。
高校では、おしゃれなチェックのスカートを
はいたりして努力していた。
だが、
高2で突然、おしゃれをやめた。
笑顔が消えた。
でもこの日は、心機一転、
生まれて初めて薄くメイクもして臨んだのに…。
娘はいつも
「男子はきらい」と言う。
私は娘に
「男の子を理解できる度量を持てればいいのに」
と思っていた。
だが
「こういう風に傷ついてきたんだ」と
はっとして、私も心が痛んだ。
でも娘よ。
目標に向かって努力できる才能を認めてくれる
友だちをつくって、
笑顔で大学生活を送ってね。